エピソード2:実りを願ってドンドドン<その1>
いよいよお祭りの始まりです。
まずはもっとも大切な儀式、「カミオロシ」が行なわれます。
祈祷師と七人の巫女たちが中心となって、村全体で祈りを捧げる精霊を呼ぶのです。
人々にとって、お祭りは単純な“お楽しみ”なんかじゃなくて、もっと深くて大きな意味がありました。
どんな物にも、どんな場所にも、精霊の心が宿っていて、採れた食べ物を「いただく」ことで、自然と一体になることができると考えていました。
全ては山の神様、海の神様から与えられたもので、「自分たちだけの力で生きているわけじゃない」と思っているからこそ、こうして祈りを捧げて周りのもの全てに感謝するのです。
みんなこの考え方で、日々の暮らしを過ごしてきました。
祭壇には精霊にみたてた土偶と、様々な供物がそなえられ、太鼓のリズムにのっかって、祈祷師トヨと巫女たちの祈りが続きます。
テンポよく鳴り響く太鼓の音が、村を囲む真っ暗やみの森の奥まで響いています。
祭壇にかざられた土偶は、姿のない精霊がやどる「仮の場所」です。
野山に生きる“大きな命”が太鼓のリズムと共鳴し、やがで巫女たちの元へやってきて、村人たちと心を交わすのです。
ドン ドドン ドンドン
ド ドン ドドン ドンドン
ド ドン ドドン ドンドン
お腹に響く重い太鼓の音と、ユラユラ揺れるたいまつの炎が、いつしか人々の感覚を、いつもとは別の世界へいざないます。
ドン ドドン ドンドン
ド ドン ドドン ドンドン
ド ドン ドドン ドンドン
ド ドン ドドン ドンドン
ド ドン ドドン ドンドン
ド ドン ドドン ドンドン
ズダダダダン ドンドン ドドンド
…その時!
えーと… オズくんガマンできませんでした…。
ということで
つづく。
※この物語はフィクションです。すべて架空のお話になります。