エピソード2:実りを願ってドンドドン<その2>
おごそかな祈りを捧げたのち、炎の明かりに照らされて、なにかの影が現れました。
そして止まぬ太鼓の音とともに、勢いよくこちらへ向かってきます。
それはヘビのような姿をした精霊「ムシ」です。
人々は、脱皮をするヘビを生まれ変わりの象徴だと考えていました。命の源となる水を司る象徴でもあり、とても神聖な生き物として扱われていました。
そのヘビをワラでかたどって、山の精霊を迎え入れるのです。
人々はこれを「ムシ」と呼んでいます。
でも決してヘビそのものを拝んでいるのではありません。
ヘビを通して、大自然のイノチを感じ取っていました。
ちょっと変わった形にしているのは、「イノチ」を表現しているからのようです。
さてさて、ここからお祭りの盛り上がりがピークを迎えます。
太鼓の音に合わせて、かつぎまわるムシの行列がお祭りを盛り上げます。
村人たちは、ここぞとばかりに大盛り上がり。
一年を通して、この時が一番大騒ぎになるかもしれません。
大人も子供もみんな無礼講、お堅いことは全部抜き。
腹まで響く太鼓の音が、よけいに気持ちを高揚させます。
ド ドン ドドン ドンドン!
ド ドン ドドン ドンドン!
はねろ!はねろ!
みんな一心不乱に大盛り上がり!
おっと…。
どんなに楽しくても、美味しいお酒と食い物の魅力には勝てません…。
つづく。
※この物語はフィクションです。すべて架空のお話になります。