オズ。
ナルミナの弟で、村長(ムラオサ)一家の長男だって。
まだまだ幼いけど、何をするにも怖いもの知らず。
子犬のドチといつも一緒で、食い物のことばかりしゃっべてる子だよ。
栗の林に囲まれた、広い広い三内丸山の村。
村人の数は優に200人は超えている。
八甲田山の裾野から続く里山で、豊かな森の資源を得ることができる。
遠くまで見渡せる巨大な物見櫓が立ち、近くを流れる沖館川から、丸木舟で海まで出ることもできる。
遠方から沢山の人が訪ねてきて、様々な品の物々交換が行われ、格別活気のある村だ。
そんな賑やかな村の中を、自由奔放に駆け回る一人の小さい男の子がいた。
名前はオズ、この村の村長の孫だ。
髪の毛をリボン結びみたいにしてもらって、村の子の中でもちょっと目立つ個性的な子だ。
いつも子犬の「ドチ」と一緒で、動物に好かれる子どもらしい。
気がつくとリスやスズメが寄ってくる。
森に入ればムササビなんかも飛んできて、ちょこんと頭にのっかて、そのまま逃げずに一緒に歩く。
なんとも愛らしい子供と動物の姿がある。
ところがこのオズ、ちょっと曲者で、とにかく食い物に目がない。
祭壇のお供え物なんかは、家の者が仕事に出払っているすきに、取って食べてしまう。
それもよそのうちにまで入っていくから始末が悪い。
もちろん叱られるから、今度は高床倉庫に忍び込むことを覚えた。
これもバレないはずがなく、母ちゃんに怒られたこともあったけど、一晩寝て起きればケロリとしている。
気が大きいのか鈍いのか、誰も予測がつかない事をしでかす子だ。
でも、この時代は子供が少ない。
長く生きられない子だって沢山いた。
家族単位で子育てするより、村全体で子どもを守り育てる、そんな社会があった。
村長の孫だからとか、そんな問題じゃなく、ちょっと悪ガキでも、村の人たちみんなから見守られている。
それは姉のナルミナも同じだった。
BY THE WAY
主要キャラクターは村長一家だけど、子犬のドチも中心に入れて考えている。
正確に言えばオズとセットだって言ったほうがいいかもしれない。
そんなイメージで今まで描いてきた。
僕は動物の絵をあまり描く機会がなかったので、何回もスケッチして見て、ようやく“それなり”に見える形に出来ているんじゃないかと思う。
端から見てどう思われているかはわからないけど。
ちなみにドチは豆柴犬をイメージしてデザインした。
元々縄文犬と呼ばれる犬種が在り、その特徴を柴犬に見ることが出来るという説がある。
その辺からかわいい日本犬の豆柴にデザインを寄せた。
縄文人は犬をとても大切にしていて、一緒に埋葬されているケースもあるそうだ。
ドチ以外にも縄文犬の描画をする機会は多分出てくる。
たとえば狩りのシーンなんかでは、絶対に犬を描くことになると思う。
過去に描いた狩りのシーンイメージ。
そんな中で、ドチはこれから、何回も何回も描くことにあるであろう、大切なキャラクターの一つ。
ということで、また次回。
定期
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